みなさん、こんにちは。内田です。
このページではLOG映像を活用した映像製作について、今後、数回にわたりLOG映像について解説をしたいと思います。
- そもそもLOG映像って一体どういうものなのだろう?
- LOG映像で映像製作を行いたいが、何をどうすれば良いのだろう?
- LOG映像を活用して映像制作をしているけれど、今一つ効率やクオリティが上がらない・・・
といったお悩みや疑問をお持ちの方々にお答えしていければと思っています。
- 第一回 各種カメラの階調特性のグラフを見てみよう
- 第二回 そもそもLOGって何?
- 第三回 LOG映像は何故眠い? その1 シーン・リファード画像?アウトプット・リファード画像?
- 第四回 LOG映像は何故眠い? その2 何らかの変換=レンダリング
- 第五回 LOG映像は何故眠い? その3 S-Log2/S-Log3を徹底解剖
- 第六回 IDTとは? 主なカメラのダイナミックレンジを大公開!
※講座の内容は変更になる可能性があります。
まず初回となる今回は、この各種カメラの階調特性のグラフの見方を簡単に説明したいと思います。
縦軸が10bitのコードバリュー(CVと略します)、横軸が露光量(対数スケール)で表されています。
デジタルシネマカメラは従来のフィルム撮影とは異なり、光をイメージセンサーを通して電気信号に変換し記録します。
縦軸の10bitのCV(値)とは、入ってきた光を10bitつまり210=1024個の整数で表した値です。
つまり100の次は101となり、100.5という値はありません。つまり100.01〜100.99の間は100または101として
記録されます。
横軸は対数スケールの露光量を示していて、横軸の0が18%グレーになるように合わせています。
数字が1増えると絞りで「1step分=露光量が2倍」に増えることを示しています。
当然、右に行くほど明るくなるわけですが、上記グラフのスケールとしては100%ホワイトの50倍明るい5000%程度まで
カバーしています。
グラフの傾きを持っている領域が被写体の明暗を記録できる領域で、それぞれのカメラのダイナミックレンジを表しています。
このグラフを見てみなさま何かお気づきになりましたでしょうか?
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ピュアブラックは0ではない。メーカーによって値は
異なるものの、オフセットを足している。(図①)※ピュアブラックとはオリジナルシーンを全く光のないところで
計測した数値をいいます。
オフセットが加えられているため値が0にはならない。
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最大CVは必ずしも10bitの最大値1023ではない。
カメラによってはそれより低い値で飽和している。(図②)
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どの程度の明るさまで明暗を記録できるか(ハイライト側の
ダイナミックレンジ)もカメラによってまちまちである。(図②)
CV値が1023に到達することなく飽和している。
また飽和する露光量もカメラによって異なっている。
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18%グレーのCVはカメラによってばらばら。
適性露出は一律に決められない。(図③)
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中間調はカメラによって傾きが異なるものの、ほぼ直線な領域がある。(LOGと呼ばれる所以)
などなど。
次回以降、これらの特性がどのような意味を持つのか、各カメラで撮影される映像にどのような特徴や違いが生まれるのか、
何に注意して映像を製作すれば良いのかについて詳しく解説していきたいと思います。
Facebookにコメントをいただければ、いただいたコメントを参考に説明を進めていきますので、わからないことが
ありましたらお気軽にご質問ください。
内田氏プロフィール
自称、映像システム設計のお困りお助け士。コンシューマーフォトからスタートし、Cineonが発表される前、1995年頃から
LOG映像を使ったシステム設計に携わる。現在は、手間隙かけずにカメラの性能を引き出した絵作りができるような
ソリューションの実現に心血を注いでいる。