みなさん、こんにちは。大西です。
映像の色を変えるときに、よく”ラット(LUT)をあてる“と言います。
普段仕事で使うので、なんとなく分かっているようで正しくは分かっていないような”ラット(LUT)“という言葉。
このページでは、今後LUTに関連する解説をします。
みなさまが本ページを読むことで、”なんとなく分かっているもやもや感“が少しでもクリアになると嬉しいです。
- 第一回 LUTの基本
- 第二回 3次元LUTとは?
- 第三回 補間の必要性とLUTの精度について
- 第四回 計算式とLUTの関係
- 第五回 画像の色変換におけるLUTの役割とは?
- 第六回 では実際にLUTはどうやって活用すれば良いの?
※講座の内容は変更になる可能性があります。
第一回の今回は、LUTの基本中の基本として「1次元LUT」を例に説明したいと思います。
LUTは「ラット」「ルット」「テーブル」「エル・ユー・ティー」などと業界によっていろいろな呼ばれ方をしますが
入力の数値に対応して出力すべき別の数値を記載した一覧表にすぎません。
画像処理で使われるLUTの場合は、RGBの3つの数値セットを別のRGBの数値セットに変換する役割を持っています。
図1はLUTの考え方を示した図です。
ここではまず簡単な例として、入力が一つの整数、出力も一つの整数という
1次元LUTを見てみましょう。
横軸が入力値、縦軸が出力値を示しています。
例えば、入力値80の場合、出力値は50に変換されます。(●A)
同じように、入力値170の場合は出力値220(●B)に変換されることを
示しています。
入力値が8bitの場合は、0〜255の256個の入力値に対応した256個の出力値が
必要になります。この組合せを全て書き出すと、図2のようになります。
これがLUT(1次元LUT)といわれるものです。
この例では入力値を図2の左の列で参照して、それに対応する出力値を
右の列から読み取るので、まさに参照(Look Up)する対応表(Table)
Look Up Tableの頭文字をとってLUTと呼びます。
では、このLUTを使って入力RGB=(80,80,80)を変換してみましょう。
入力値80に対する出力値は50となっているので
出力RGB=(50,50,50)に変換されることが分かります。
次に、R,G,Bそれぞれ異なるLUTで変換する例を見てみましょう。
図3のようにRGBそれぞれにR用LUT、G用LUT、B用LUTの3本のLUTを
使用します。
これを使えば、●Cの入力RGB=(80,80,80)は、出力RGB=(50, 75, 25)へ
出力され、RGBがそれぞれ異なる値に変換されることがわかります。
ところが!
実は、このRGBの1次元LUTだけでは表現できない色変換があります。
例えば、彩度だけをコントロールする色変換はこの1次元LUTでは出来ません。
そのような場合には、より複雑な「3次元LUT」が必要となります。
今回は、LUTの基本的な概念を理解していただくために、1次元LUTについて
説明しましたがいかがでしたでしょうか?
次回は3次元LUTについてより詳しく解説していきたいと思います。
乞うご期待!